2026.10.02

05 | コンサルティングではなく、クリエイティブである理由。

この新しいサービスについて人に話すと、よくこう言われます。「それって、コンサルだよね?」

正直に書きます。私は、コンサルティングという業態に、良い印象を持てずにいました。だからこそ、この一言を言われるたびに、少し立ち止まってしまいます。たしかに、傍から見れば近く見えるのかもしれない。でも、自分の中では、はっきりと違うものだという感覚がある。その違いを、一度きちんと言葉にしてみようと思います。

私が実体験として出会った、悪いコンサル

これまで、いくつかの現場で、コンサルタントという肩書の人たちと接する機会がありました。詳しい経緯は書きませんが、共通していたのは、次のような姿勢です。

答えを与え続ける。指示を出し続ける。そして、その関係が続く限り、顧問料が発生し続ける。経営者が自分で考えられるようにするのではなく、むしろ、自分で考えなくても回るようにしてしまう。結果として、その会社は、いつまでもその人の助言なしでは前に進めなくなる。

対等な立場で並ぶのではなく、上に立とうとする態度も、何度か感じました。専門知識を盾に、経営者や、私たちのような外部の協力者を試すような接し方をする。こうした振る舞いが、私の中に「コンサル」という言葉への、良くない印象を刻みつけていたのだと思います。

本来のコンサルティングとは、こうあるべきだと思う

ただ、これは、コンサルティングという仕事そのものの姿ではないはずです。冷静に考えると、この仕事には、本来、とても正当な役割があります。

社内のしがらみに縛られない、外部の目線で指摘すること。数多くの事例を見てきた経験から、遠回りせずに済む型を示すこと。経営者には時間が足りない、腰を据えた調査や分析を引き受けること。そして何より、良いコンサルティングが目指すべきなのは、「自分がいなくても、その会社が自分の足で立てるようになること」だと、私は思います。知見を渡し、判断の型を残し、やがて自分の関与を必要としなくなることをゴールにする。それが、本来あるべき姿です。

だとすれば、私が苦手だったのは、コンサルティングという仕事ではありません。自立を後押しするはずの関わり方が、いつの間にか、依存をつくり出す関わり方に変わってしまっている。そのことに、私はずっと違和感を持っていたのだと、今は分かります。

では、具体的に何が違うのか

「コンサルだよね」と言われるたびに考えてきたことを、一度整理してみます。

こうして並べてみると、違いは「賢さ」や「業界知識の量」ではないことが分かります。コンサルティングは、知見と型で答えに導く仕事です。私たちがやっているのは、対話で可能性を仮説し、それをクリエイティブという手段で実際に形にして渡す仕事です。入口は似ていても、向かう先と、最後に手元に残るものが違います。

では、私は何がしたいのか

 

ここが、私の答えです。

私がやりたいのは、答えを渡すことではありません。その会社の人たちと一緒に、まだ言葉になっていない可能性を、仮説として立てていくことです。「こうかもしれない」「これは、まだ確信はないけれど、可能性があるかもしれない」。断定せず、対話の中で、一緒に確かめていく。

これは、抽象的な話をしているわけではありません。対話の先には、具体的な成果物があります。社内の誰もまだ言葉にできていなかった強みを、採用ページで使える一行に落とし込む。経営者の頭の中にしかなかった事業の方向性を、社員が読める言葉と図にして残す。「なんとなく」で続いてきた会社の空気を、ロゴやビジュアル、冊子という目に見える形に変えて、社内外に伝わるようにする。デザインとは、本来そうした「まだ形になっていないもの」を、形にする技術です。対話で可能性を仮説し、クリエイティブでそれを実際の形にする。ここまでを一貫してやる。それが、私のサービスです。

良いコンサルティングも、私が目指すクリエイティブも、目指す先は同じだと思っています。その会社が、自分の言葉で、自分の未来を語れるようになること。ただ、そこへ向かう手段が違います。コンサルティングは、型と経験知で、その自立を後押しする。私は、対話と気づきと、その先にある「作って渡す」というものづくりで、その自立を後押ししたい。

正解を渡すのではなく、可能性を、一緒に仮説する。そして、仮説で終わらせず、形にして渡す。それが、私がクリエイティブという立場でやりたいことです。

コンサルは、敵ではないかもしれない

ここまで、コンサルという業態への違和感を書いてきました。ですが、最近、考えが少し変わってきています。

会計事務所、DX支援会社、金融機関。こうした立場の方々は、私よりもずっと多くの会社と日常的に接点を持っています。決算や融資、システム導入の相談を通じて、経営者の本音に近いところにいる。彼らが悪いわけではありません。むしろ、彼らもまた、数字やシステムの外側にある「人」や「言葉」の部分まではなかなか手が回らない、というもどかしさを抱えているのではないかと思うようになりました。

だとすれば、私がやるべきは、コンサルという業態そのものと対立することではないのかもしれません。会計事務所やDX支援会社、金融機関にとって、私たちのような対話とクリエイティブの専門家は、競合ではなく、顧問先の課題を一緒に解決できる仲間になり得る。数字やシステムでは届かない部分を、私たちが補う。そういう関係性を、これから少しずつ作っていきたいと思っています。

相手の成功が先、自分の利益は最後

もう一つ、ここに書き加えておきたいことがあります。

私は、相手のビジネスの成功を先に置き、自分の利益は最後でいいと考えています。これは、きれいごとのつもりで言っているのではありません。自分の利益を先に置いてしまったら、この「人」を中心に据えるという自分の理論そのものが、嘘になってしまうからです。

自分の利益を優先するビジネスは、長くは続きません。目先の利益を追えば、答えを与えて依存させる方が、きっと効率がいい。でも、それでは私が批判してきた、あの構造と同じになってしまいます。だから私は、あえて遠回りに見える方を選びます。

——次回からは、私自身のことではなく、実際にみなさんの会社と、どう問いを立てていくのかを書いていきます。