はじまりは、一枚の大きな絵
初めて自分で企画したグラフィックファシリテーションで、
私が見つけた「これからやりたいこと」。
ある夏の日、私は長野県内のある建設会社にいました。会場は古民家。3名の職人さんとサポートチーム3名の方々が同じ方向を向いて座り、語られる言葉を、その場でグラフィックファシリテーション担当のacoさんが文字と絵に描き取っていく。壁には、全長7mほどの一枚の絵が、2時間半かけて少しずつ伸びていきました。

これは、私が自分で企画し、運営した、初めてのグラフィックファシリテーションの場でした。
グラフィックファシリテーションそのものに初めて出会ったのは、その一年半ほど前、2025年の1月のことです。そのときはまだ見学する側でしたが、語られた言葉が絵になって立ち上がっていく感覚が忘れられず、いつか自分の手で場をつくってみたいと思うようになりました。それを、ようやくこの夏に実現させたのが、この日でした。
そして正直に言えば、私はこの日を境に、自分がこれから何をやりたいのかが、はっきりしてしまったのです。

私はもともとグラフィックデザイナーです。
ロゴをつくり、写真を選び、きれいに”見せる”ことを仕事にしてきました。でもその仕事を重ねるほど、ずっと引っかかっていたことがあります。見せ方を磨く前に、そもそも「何を見せるべきか」の設計(デザイン)も重要で、表面だけでなく上流工程から企業様と歩みたいと思うようになりました。

今回の絵の前で、私はようやく順番が分かった気がしました。
デザインの前に、まず問いを立てる。会社の中に眠っている、まだ言葉になっていない価値を、対話で掘り起こして、目に見えるところへ連れ出す。それが定まってから、はじめてデザインの出番が来る。私がやりたいのは、この”手前”の仕事です。
そこを丁寧に時間をかけて行いたいと思いましたし、企業様にも時間と費用をかけていただけるよう提案していきたいです。

とりわけ、地方の小さな会社ほど、その価値は仕組みではなく、人の中に眠っています。だからこそ、可視化が効く。私はこれから、そういう会社の中に、問いを持って入っていきたい。
「可能性の可視化」。まだ見えていない可能性を、一緒に見つける。
この連載は、私がこれから何をしていきたいのかを、10回にわたって書いていく試みです。
次回から、その中身を一つずつ、お話していきます。

